お問合せ

全国6ブロックへのメッセージ
電子国土論は、デジタルアース構想の日本版です。 現実の国土とサイバー空間である電子国土、21世紀に実現する2種類の国土。これを支える新情報産業が、GIS産業(GIS Industry)と呼ばれています。日常的な社会経済活動の中で現実の国土は常に変化していますが、電子国土もこの国土変化に応じて常に更新されなければなりません。電子申請からGISのデータベースを日常的に更新するという発想は、電子国土の管理運用に必要です。そして、ここから電子自治体を支える情報管理技術としてのGISの重要性が明確になります。
 
 GISは、今や電子自治体において、電子申請で日常的に増大する膨大な行政情報(電子図面を含む)の管理システムとして電子自治体に不可欠の情報システムといえます。  建設CALS/EC等で申請される電子申請図面からGISのデータベースを日常的に更新することにより,電子国土が形成・更新され、すべての情報は位置情報で串刺し管理されるのです。 ビジュアルな視覚化されたコンピュータ上の電子国土をクリックすると必要な情報がポップアップします。従来のようなバインダーベースの電子ファイル管理システムからGISによるビジュアルな電子国土の管理システムへ、電子自治体における情報管理スタイルが変化するのです。

 そして、この電子国土は、政策決定に社会的実験室というサイーバー空間を提供します。 政策の意思決定の前段階でその政策の評価を電子国土というサイバー空間でシュミレーションすることにより、政策決定のリスクを下げることが可能になります。 つまり、行政サービスの質的向上が可能なよりよい政策意思決定の実験室を、人間はGISにより21世紀に持つことができるのです。GISは、地球環境をまもり、快適な生活を実現化させる21世紀の情報技術です。

 地域情報化は、電子国土の地域版と考えられます。 ITによる単なる情報網の整備だけではなく、情報コンテンツとしての電子地域社会が現実の地域社会のサイバー空間として実現されるなら、そこに快適な生活を実現するために多様な情報サービスが生まれてきます。 この情報サービスをビジネスとして担う地元産業が、GIS産業なのです。GIS産業はITベースの地域産業といえます。 そして、地域情報化を支えるGIS産業の担い手層は、20世紀の産業構造の再編の中から生まれます。

 今必要なのは、このGIS産業の担い手層を日本に創生していくことです。 全国の多くの測量.土木・建設業は、今や21世紀型の新情報産業へ質的な変換をする必要があります。それがGIS産業です。

 政府の「GISアクションプログラム20022005」の中で、新しい情報産業とGISビジネスモデルの創生が、GIS長期計画の課題になっております。地域に根ざした新しいGISの産官学の地域組織は、GIS産業の核になる新しい産業組織に発展するといえます。地域から沸いてくる新産業発展のエネルギーが結集されることに期待しています。

奈良大学地理学科教授 
        碓井 照子
 

中四国GIS技術研究会への期待

地理情報システム(GIS)は従来より、位置情報を保有するデータの管理、空間解析や意思決定支援等のために、様々な機関で利用されている。ところが近年は、カーナビや電子地図、WebGISなど、利用目的の特化したものが個人向けに急速に普及している。この背景には、GIS技術が成熟し、データを格納する電子記憶媒体や各種デバイスが安価になったことが大きく影響している。また、一般個人ユーザの求めているものは、高機能で操作の複雑なGISよりも目的が明確で扱いやすいモノであることも伺える。今後もこの傾向は、ますます色濃くなってくると想像される。もともとGISはその名の示す通りシステムであり、アプリケーションではない。したがって、コンピュータに例えるならOS的な動きを、車に例えるならエンジンの働きをGISに求めている。このように従来より培われているGISは汎用GISと位置付け、電子地図やWebGIS等のアプリケーションとは一線を画すべきであろう。

その汎用GISは、それ自身非常に高機能であるがゆえに、ユーザの望む特有の目的を達成するために、処理の筋道を立てるのに多くの時間が必要とされるものである。現在、いわゆるGISエンジンとして、様々な製品が開発されており、ユーザフレンドリーな操作環境を実現するべく様々なアイディアが投入され、具現化されている。しかし、それはそれでシステムの基本思想をまず十分理解する必要が有り、そのためにやはり多くの時間を費やしてしまう。したがって、GIS技術である「シーズ」とユーザの要求するところの「ニーズ」との間には依然として隔たりが存在すると感じられる。

とこれで、現在多くの自治体ではGIS導入に苦慮している。実際、全庁的にGISを導入したにもかかわらず、それを維持することができなかった例が多くあった。その原因の多くは、データの整備と維持に膨大なコストがかかること、GISに精通する職員が定期的に異動すること、地元においてGISを生業とする企業が少ないためサポート体制が十分でなかったこと等が挙げられる。しかし、根本的な原因としては、シーズとニーズとが十分マッチしていなかったと言える。

中四国GIS技術研究会は、データ整備に実績があり、地元と密着した活動をしている会社により組織された団体である。この研究会の設立によって、組織的にGISに関するあらゆる情報が共有されれば、極めて効率的にGIS技術を向上させることができるであろう。自治体等において導入されるGISにおいて、シーズとニーズとを繋ぐ重要な役割を担ってい頂けると期待している。

高知工科大学
社会システム工学科助教授

農学博士 高木方隆